2chオカルト板・怖い話・洒落怖怪談の厳選まとめ

2chのオカルト板・怖い話・洒落怖の怪談などをまとめたブログです。怖い話を厳選して掲載。閲覧注意。

2013/06/30(日) 11:41:42

204 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/27 16:47
爺婆スレからコピペです。

356 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/09/05 20:52
自分の家は山のてっぺんなんだけど、そこから隣の山の頂上に、大岩がたくさん置いてあるのが見えるんだわ。
(実際は誰が置いたわけでもないのだろうが、この表現が一番しっくりくる)
で、近所の爺さんに「あの岩は何?」って聞いたら、
「岩の中に老人が二人住んでる」みたいな物語を聞いたんだけど、詳しくは覚えてない。

で、どーしても会いに行ってみたくなって、行ったんだわ。
てっぺん目指して山道をひたすら登る。でもどうしてもたどり着けない。
てっぺんは平原みたいになってるはずなのだが、いつまでたっても森の中。
次々と頭の中に、『本当にあった怖い話』シリーズのネタが浮かんでくる。

泣きそうになりながら、実際ちょっと泣きながら、それでも1時間ほど登った所で、急に視界が開けた。
やっと着いたかと思ったが、大岩は無く、あるのは寂れた赤い鳥居。
不思議だったのは、鳥居だけだったこと。建物が見あたらない。

で、ここで分かれ道になってて、一つは再び森の中へ、もう一つは鳥居をまっすぐ行く道。
暗い森の中には行きたくなかったので、まっすぐ行くことにした。鳥居をくぐり進む。
が、しばらく進むと、この道も森の中へ再び入っていった。


205 :204つづき:03/11/27 16:47
この時点でもう出発から3時間は経ってて、へとへとで泣きながら進んだ。
すると、なんか集落みたいな所に出て、人もいたので、急に安心してしまいもっと泣いた。
そんな私を見て、事情が飲み込めたのだろう。「ようきたね」と言いながら、頭をなでてくれた。
そんで、「もどろうか」と言ってくれたが、そこからは記憶が無く、気がついたら龍神岩の前にいた。

龍神岩ってのは、自分の町にある神社の池の真ん中にある馬鹿でかい岩で、
土地の先祖が龍を退治して閉じこめた岩らしい。
その神社は自分が登った山とは反対方向だったが、疲れていたのか疑問に思うことなくそのまま家に帰ったら、
両親が泣きながら飛びついてきた。
どうやら家を出てから2日経ってたらしく、やれ神隠しだ遭難だと、大騒ぎだったそうだ。

ちなみに、今ではそのてっぺんの大岩には、2時間もあれば行けるようになった。
遺跡じゃないんだろうが、遺跡っぽい雰囲気が好き。町も一望できるし、今じゃお気に入りの場所です。

それから、二度とそのじーさまの話は信用しませんでした(笑)
長いし怖くないしでごめんね。孫が出来たら話そうかと思う。

2013/05/09(木) 12:42:06

645 :641:2011/08/10(水) 00:27:37.20 ID:79Qvy7zu0
登山好きだった親戚のおじさん(昨年亡くなられた)の若い頃の話。
30年くらい前の話だってことだから、おじさんはたぶん当時20代後半くらいだと思う。

俺は山に詳しくないのでよくわからないんだが、日本アルプスの3000メートル近い山を目指す山行き。
冬ならそれこそ命の危険もあるが、夏山なのでわりと気軽な単独での登山だったそうだ。


646 :641:2011/08/10(水) 00:38:01.29 ID:79Qvy7zu0
で、油断してたわけでもないんだろうけど、気がついたら滑落してたと。
それもかなりヤバイとこで、数十メートル斜面を滑り落ちて、最後には宙に投げ出されながら、
垂直気味の壁面にちょっとだけ出っぱってた岩棚みたいなとこに、体を打ちつけてかろうじて止まったらしい。
息が詰まって呼吸が苦しい、全身がしびれたように感覚がない、といった状態で、
なんとか目を開いてまわりの状況を確かめようとしたら、そこに人がいた。
切り立った崖の途中のわずかなスペースに、Tシャツ短パンにビーサン履き、片手に缶ビールを持って。


647 :641:2011/08/10(水) 00:47:36.99 ID:79Qvy7zu0
そのメチャメチャ軽装な若い男の人は、最初ものすごくびっくりした様子で、
「うわ、うわ、だいじょうぶ? あ、あ、あ、足足足」
みたいな感じで、明らかに取り乱していたそうで。
実際、おじさんの足は両方ともヘンな方向にねじ曲がってたんだと思うけど、
それでもおじさんを岩壁沿いに引き上げて、楽な体勢にしてくれた上で、
「すぐに助けを呼んできます」と言ってくれた。
言ってくれたんだが、
「どうやったら救助の人呼べますか」とか、「この場所はなんと説明したらいいですか」とか、
山に関してまるっきり素人っぽくて、おじさんも死にそうだっつーのに説明するのに困ったそう。


648 :641:2011/08/10(水) 01:09:39.29 ID:79Qvy7zu0
それでも、その人が山小屋に連絡してくれて、おじさんは数時間後に救助された。
5か所以上の骨折と、腎臓はじめ内臓にもかなりのダメージだったけど、とにかく最終的にも助かった。

ただ、おじさんの命の恩人は、山小屋に駆け込んで救助を依頼した後、いつの間にか姿を消していたらしい。
下山する姿を誰も見ていない、入山記録もないとかなんとかで、
おじさんの救助の後で、その人の捜索騒ぎになったらしいんだけど、結局見つからず。


649 :641:2011/08/10(水) 01:22:02.93 ID:79Qvy7zu0
ザイルなしじゃ降りられない絶壁に、そんな軽装だけでいること自体おかしいし……
助けを呼びにいく際、「じゃ、待っててください」と言ったあとで、
どうやって登っていったのかもまるでわからなかったとのこと。

「山の神様と思いたいところだけれど、どっから見ても生身の人間だったし、
 岩棚の上には煙草の吸殻と缶ビールのプルタブも捨ててあってなあ。
 神様はそんなことしねえよなあ」
と、生前のおじさんは言ってたそうだ。


651 :本当にあった怖い名無し:2011/08/10(水) 01:32:01.87 ID:rqSHiTBt0
フリークライミングってのがある


658 :本当にあった怖い名無し:2011/08/10(水) 07:54:47.17 ID:9Xwj6YGaO
フリークライミングってビーサンでできるもんなの?
登ってる最中は両手が塞がるだろうに、ウェストバッグもなしに缶ビールとタバコが持ち込めたのも謎。

山やってる人に聞くけど、登山中に飲酒する?
山小屋なら飲むだろうが、個人的に山行中に飲むイメージがないので。


661 :名無しさんの次レスにご期待下さい:2011/08/10(水) 12:23:15.95 ID:qVb4Yxa80
>>658
フリークライミングだとしたら、服装とか、そのあたりは叔父さんの記憶違いなんじゃないかな?
身体・精神共に極限状況の中だし、もうすべてが有り得ない様相を呈してんだもん。
なんつーの、自分を正常な状態に置こう、戻そうとする精神的なそういう働きで、
軽めのシューズをビーサン(自分の知ってる一番近いもの)とか認識したんかもしらん。

煙草と飲酒は…どっちも特にやんないからわかんないけど、
そういう開放的?な非日常の場や、なんか一仕事やったー!って時に呑みたくなるってのあるんじゃないかな。
吸い殻やら置いてっちゃったのはイカンけど、救助しなきゃでテンパッちゃったのかもw

何にしろ、いい人だけど、ちょっとフリーダムなとこのある人だったのかもね。


663 :本当にあった怖い名無し:2011/08/10(水) 18:43:56.74 ID:2QN4uPOo0
でもクライマーが岩場で酒なんか飲まないだろ。
あれは沢より死ぬ確率のバカ高い危険なスポーツだ。
そんな気楽に出来るもんじゃないし、やったことのある奴なら絶対に岩場で酒なんか飲めない。
判断が狂うからな。


668 :本当にあった怖い名無し:2011/08/11(木) 03:46:10.09 ID:hSocA/q80
641です。スレチじゃないみたいでよかった。
このあいだ、そのおじさんのお盆さんで集まった時に俺は初めて聞いたんで、
在命中におじさんに直接聞けなかったのが残念。

長文になるから色々端折っちゃてるんだけど、フリークライミングの人ではなさそう。
山小屋に現れたときもビーサン履きでビールの缶を持ってて、
「なんで初心者があんな無謀な格好でここまでたどり着けたんだろう?」
って、小屋の人も後から訝しんでたらしいから。

2013/05/08(水) 12:41:25

227 :本当にあった怖い名無し:2010/07/20(火) 13:18:12 ID:7wJaAWaR0
遭難者道案内の男性、下山後姿消す 真夜中の御在所岳

18日午後5時20分ごろ、菰野町菰野の鎌が岳(1161メートル)で、
1人で登山中だった名古屋市守山区の男性会社員(39)の父親(67)から
「道に迷った、と息子が連絡してきた」と110番があった。
四日市西署が翌朝からの捜索を予定していたところ、19日未明に男性が下山。
「偶然山中で出会った2人の案内で下山でき、気がつくと名前も告げずに去っていた」と話しているという。

同署への男性の説明では、山中で午後9時ごろ、遠くにヘッドランプの明かりを発見。
大声で助けを求めると、40代くらいの男性2人が気付き、道案内役になってくれた。
午前0時50分ごろ、御在所ロープウエイ湯の山温泉駅まで下山。直後、2人の姿が見えなくなったという。

男性は歩いてついていくのに必死で、会話はほとんど出来なかったという。
同署では「御在所岳で夜の登山客は通常考えにくいが、無事下山できて何より」と話している。

http://mytown.asahi.com/areanews/mie/NGY201007190069.html


231 :本当にあった怖い名無し:2010/07/20(火) 14:45:06 ID:grLJttJ40
>>227
男性会社員(39)が母親にその二人の詳細について語った所、
母親は「それはお前の爺さんの戦友に違いない」と言って顔を覆ったという。

前大戦時、母親の父は陸軍小隊長として出征していた。
小隊長は部下達を大事にし、身寄りのないある二人については、我が子のように可愛がった。

ある時、休暇を貰った小隊長は、帰省する家もない二人を連れて帰ってきた。
幼き母達に親身に接し敬う二人を見て、
母は父がどんなに部下を大切にしているかを伺い知ることができたという。

休暇が終わり、三人は再び戦場へと戻って行った。
その際、二人は母の手を握り、
「小隊長殿に受けた恩は必ず、必ずあなた達に返しにきます」
そう告げて去っていった。
三人が再び母国の土を踏む事は無かったという。

「まだ20にもならない二人だったけどねぇ。
 あんたの年に合わせて、わざわざ年を取って助けに来てくれたのかも知れんね」
そう言って母は、アルバムから一枚の写真を取り出した。
会社員は唖然とした。
愛してやまない小隊長の両脇で、満面の笑みを浮かべる少年兵2人は、
あの恩人達にそっくりだったという。

2013/05/07(火) 12:40:57

29 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/04/30(木) 18:57:34 ID:u3KG1eMV0
友人の話。

仲間何人かでキャンプに出かけた時のことだ。
夜も更けて他の者は寝入ってしまい、火の側に居るのは彼一人だった。
欠伸を噛み殺しながら、そろそろ火の始末をして俺も寝ようかな、などと考えていると、
覚えのない声が話しかけてきた。
「何しているんだい?」
顔を上げると、火を挟んだ向こう側に誰かが座っていた。
ぼんやりとしか見えない、大きな黒い影。視界に霞でも掛かったかのよう。
何故かその時は不思議とも怖いとも思わず、普通に返事をした。
「んー、火の番をしてる」
相手の正体は何者なのか、何でこんな時間にこんな場所に居るのか。
そういった類いの疑問がまったく頭に浮かばなかった。
先程まではシャンと起きていた筈なのに、寝惚けた時のように思考が上手く働かなかったという。
ぼんやりと、俺寝惚けているのかな、と考えているうち、また話しかけられた。
「その火が消えたらお前さんどうする?」
「んー、消えないよ」
「こんな山ン中じゃ、一寸先も見えない真っ暗闇だろうな」
「んー、この火が消えちゃったら、そうなるだろうね」
「闇は深いぞ。中に何が潜んでいるかわかったもんじゃないね」
「んー、暗いのは怖いよ。だから火の番をしなくちゃね」


30 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/04/30(木) 18:59:00 ID:u3KG1eMV0
声の主は、頻りと火を消すように勧めてきた。
「火の番なんか止めちゃえよ。もう眠いんだろ。寝ちゃえよぐっすりと」
「んー、そうしたいけど、そういう訳にも行かないんだよね」
「俺が消してやろうか?」
「んー、遠慮しとくよ」
「消すぞ」
「んー、でも直ぐまた点けるよ、暗いの嫌だから」
「一度消えた火は直ぐ点かないぞ。無駄だからもう寝ちゃえよ」
「んー、ライターもあるし、火種があれば直ぐ点くよ」
「ライターか。それがあれば直ぐに火が点くのか」
「んー、点くと思うよ。簡単に山火事になるぐらい」

すると声は、ライターを無心し始めた。
「火が消えないならライターなんてもう要らないだろ。俺にくれよ」
「んー、これは大切な物だから駄目だよ」
「俺が代わりに火を見ててやるよ。だからライターくれよ」
「んー、僕のじゃないから、やっぱり駄目だよ」

こんな押し問答を何度くり返しただろうか。
やがて影がゆらりと立ち上がる気配がした。
「火が消えないんじゃしょうがないな。帰るとするか。また遊ぼう」
その言葉を最後に、何かが山の闇の中へ去って行った。


31 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/04/30(木) 19:00:43 ID:u3KG1eMV0
「ばいばい」
小さくなる気配にそう挨拶していると、いきなり強く揺さ振られた。
ハッとして身構えると、揺すっていたのは先に寝ていた筈の仲間だ。
目が合うや否や、凄い勢いで問い質される。
「お前!今一体何と話してた!?」
「何とって・・・あれ?」
そこでようやっと思考がはっきりし、明瞭にものが考えられるようになる。
「えっ今、僕、何かと会話してたの!? 夢見てたんじゃなくて!?」
気が付くと残りの皆もテントから顔を出し、こちらを恐ろし気に見つめている。
彼を揺すり起こした者が、次のように教えてくれた。

曰く、テントの外で話し声がしたので目が覚めた。
夜中に迷惑なヤツだと思い、テント中の寝顔を確認してから青くなった。
人数から判断する限り、今外には一人しか出ていない筈だ。
恐る恐る外を覗くと、焚き火を挟んで座る影が二つ。
片方は間違いなく友人だったが、もう一方が何かわからない。
人の形をした、黒い塊に見えたらしい。
友人と影は、何度もしつこいくらいに言葉を交わしていた。
どうやら、火を消す、消さないで揉めている様子。
絶対に消すんじゃないぞ!
声に出せない願いを胸中で叫んでいると、じきに影は立ち上がり山奥へ消えた。


32 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/04/30(木) 19:01:33 ID:u3KG1eMV0
いつの間にか他の皆も起き出しており、背後で息を殺していた。
影がいなくなった時、テントの中では安堵の溜め息が重なったそうだ。
その直後慌てて外に飛び出し、憑かれたように火を見つめる友人を引っ掴んで、
ひどく揺すって目を覚まさせたのだと、そう言われた。

思わず、影が消え去った方角の闇をじっと見つめてしまった。
何も動く気配はない。足元で薪の爆ぜる音が聞こえるだけだった。

その後彼らは、その山を下りるまで絶対に火を絶やさないよう心掛けた。
不寝番を二人立てて、火の番を交代でしたのだという。
その甲斐あってかその後、あの黒い影はもう現れなかったそうだ。

「僕はあの時、何と会話していたのかな?」
思い出すと今でも鳥肌が立つのだそうだ。

2013/05/06(月) 12:40:26

231 :鼠の天麩羅:2008/06/29(日)20:04:59ID:yJxwvKUv0
知人の劇団員が、地元の猟師さんの笑い話を元にまとめて劇を作ったことがある。
長くなりますが、よろしければ暇つぶしにどうぞ。

元号がいくつか前の時代のお話。
木樵と炭焼きと猟師を兼業で生活している老人とその弟子の少年が、二人で細々と暮らしていた。
ほんの童子の頃から手伝いを続けていた少年も、もう一人前と認められるようになり、
老人は猟の獲物の肉と皮、山菜や茸を麓の集落に売りに出る間、
少年は一人で小屋で留守を守るようにと言われた。
初めて一人前の男と認められたようで、少年は多少の不安はあったものの喜び勇んで引き受けた。

老人を見送った少年は、日頃の習慣に従って山道具の手入れをし、薪を拾い、怠りなく日常の仕事を片付けていった。
とはいえ、いつもの老人の厳しい眼が無いことは、まだ幼さの残る少年の心を浮き立たせるには十分で、
人様の迷惑にならない範囲での自由を満喫していた。
いつもの決まった仕事を終えた後は、近くの小川で釣りに興じ、小屋に戻っては老人の書物を紐解いてみたり。
そして、その中で一つの話が眼を引いた。
『稲荷神社と鼠の天麩羅』についてだった。


232 :鼠の天麩羅:2008/06/29(日)20:06:10ID:yJxwvKUv0
…かつて、農耕・穀物の神であった稲荷は、
仏教との融合で、豊川稲荷などのダキニ天の考え方なども交わり、狐の姿でも知られるようになっていた…
…稲荷神社になぜ油揚げを供えるのか。
豆腐の油揚げは代用品であり、本来は狐にとって最高の好物である鼠の天麩羅である…
…だが、それでは処分にも困るため、精進料理など模して豆腐を揚げた。
揚げてあるのですぐには腐らず、お供え終えた後は皆でわけて食べられるため、これが広まった。
これを甘辛く味付けをし、飯を詰めた物が稲荷寿司である…
…豆腐の油揚げももちろんだが、本家本元の鼠の天麩羅、
できたてのまだ熱いものなどは、狐には命がけでも口にしたいもので、ありとあらゆる手を使ってでも食べに来る。
昔話では、そこで相手に山菜や大物の川魚を捕ってこさせるという笑い話もある…
…そんなわけで古来、狐を捕まえる罠には、鼠の天麩羅を餌にするのが定石である…

そう言えば、師である老人も同じような内容をよく言っていた。
美女に化けたり厳つい異人に化けたり、あるいは術にかけて眠らせたりとして、
気がつくと、鼠天麩羅は一つ残らず奪われてしまっているとのこと。
少年は悪戯心を抑えきれなくなって起ち上がった。


233 :鼠の天麩羅:2008/06/29(日)20:07:34ID:yJxwvKUv0
日が落ちる頃、小屋のすぐ近くの小川のほとりで鍋にごま油を熱していた。
物心ついた頃から山で生活している少年にとって、山鼠を捕まえてくることはさほど難しいものではなく、
まるまると太ったものを五,六匹選んで、後は逃がしてやり、
手早く〆めて、粉を付け、たぎった油に浮かべ始めた。
ぱちぱちと油の弾ける音とともに、ほどなく新しい肉の熱せられる。意外なほど香ばしい匂いが立ちこめてきた。
もし狐が来なかったら、薬食いということで自分で食べてしまおうかと、
少年はくすねてきたどぶろくの徳利を傍らに、一人で笑っていた。
反対側には、魔物除けに刃を紙のように研ぎ澄ました山鉈を置き、さらには煙管と煙草も用意をしておいた。

鼠の天麩羅が色よく揚がる頃には、たっぷりと唾を眉に付けて毛を寝かせて、「ござんなれ」と待ち構えていた。
待つほどもなく、焚き火の届かない闇の奧に、二つ並んだ緑色の灯がちろちろとまたたきはじめた。
少年は気づかぬふりで、香ばしい肉の匂いをふりまく揚げたての鼠の天麩羅を木皿に盛ると、
小皿にツユを注ぎ、徳利を引き寄せ、今にも箸を付けるような姿を見せてやった。
「キーッ、キーッ」
枯葉色の毛並みを波打たせ、闇の向こうから狐はしきりに歯をむいて、なにやら怪しいそぶりを見せている。
しっかりと眉を濡らした少年は、狐のあやしのわざにかかったそぶりでぽかんとしてみると、
闇の奧から狐が数匹、嬉しげに駆け寄ってきて、木皿の鼠の天麩羅に口を伸ばし…


234 :鼠の天麩羅:2008/06/29(日)20:09:18ID:yJxwvKUv0
「こらあっ!」
笑いを押し殺した少年の雷のような不意の一喝に、鉄砲に打たれたように飛び上がって、
森の奧に逃げ込んでしまった。

少年はひとしきり腹を抱えて笑った後、なおも焚き火のちかくに鼠の天麩羅を置いて、残酷な匂いを立て続けていた。
また、ちろり、ちろりと、闇の奧に緑色の灯火が瞬く。
しきりと首を傾げているようだが、また「キーッ、キーッ」と歯をむいて、
前にも増して思念を凝らしたあやしいそぶりを見せ始めた。
笑っていた少年は、焚き火のぬくもりが一時ごとに布団にくるまっているような眠気をもたらしていることに気づいて、
さては狐共、眉唾のまじないを破るような熱意でこちらをばかそうとしているな、と思い当たり、
山鉈の鞘を払って、眠気を振り払うように目の前を薙いでみせた。
「やまのひとやのつれづれにあげてみたるはやまねずみ
 ばかすあやかししるまいかわがなりわいはりょうしにて」
詩吟気取りの戯れ句をわざわざ声高に聞かせてやりながら、白刃を焚き火にきらめかせると、
また狐はぽんと森の奧に逃げ込んでしまった。

またひとしきり笑った少年は、酒で少し口を湿らすと、上機嫌で鉈を鞘に収め膝に横たえた。
相変わらず焚き火の側で暖められた鼠の天麩羅は、少年の空きっ腹にも答えるようなよい香りを放っている。
もう狐も来るまいと、少年は箸をとって、一番上の天麩羅をつまみ上げた。


235 :鼠の天麩羅:2008/06/29(日)20:10:47ID:yJxwvKUv0
「キーッ、キーッ!」
闇の奧で切羽詰まったような獣のうなり声。
そして、ちろちろと瞬く緑の火は、五,六対にまで増えていた。
なんと根気の良いことと半ば感心しつつ、少年は箸を引っ込めて、もう一度念入りに眉を唾で濡らした。
と、二,三度の瞬きの間に、少年は目の前が白く霞むのに気がついた。
なんと、十歩先も見えないような深い霧が、焚き火の回りを包み始めていたのだ、
「火の側で霧が出るなんぞ…」
流石に呆れかえった少年だが、師の煙草入れを取り上げて刻み煙草を煙管に詰めると、焚き火の火を移した。
「キッ…」
狼狽したような獣の声に、にやにや笑いを浮かべると、
身体を斜に構えて、音を立てて煙草をのみ、ぷかりと煙を夜空へ吹き上げて見せた。
目の前に垂らされていた布が取り去られたように深い霧はぱっと消え去り、
四匹ほどの狐が、唖然としてこちらを見つめていた。
「んんっ?」
少年は芝居げたっぷりに音を立てて煙管を打つと、大げさな動作で山鉈の柄を掴んで見せた。
狐たちは鳴きもせず、いっさんに森の奧に逃げていってしまった。

少年は腹が空っぽになるほど夜空に向かって笑うと、ふと狐たちの必死さがおかしくなってきた。
山の恵みで生かしてもらっている我が身と、師が繰り返し教えていたこともある。
こちらの楽しみに付き合ってもらった代金に、半分ほどは渡してやってもいいだろうと思った。


236 :鼠の天麩羅:2008/06/29(日)20:12:20ID:yJxwvKUv0
と、その時。
しゅく、しゅく、しゅくと、哀しげな泣き声が木々の合間から聞こえてきて、
そこから、すっかりしょげかえった風情の狐が一匹、べそをかきながらやってきた。
まさか正面から姿を現すとは思っていなかった少年は意表を突かれて、それでも用心をとかずに見つめていると、
狐はべそをかいたまま人の言葉で泣き続けた。
「いままで、あなたさまを化かしてかすめ取ろうとしてしまって、申し訳ありませんでした。
 あなたさまのこしらえられたその若鼠の天麩羅は、わたしたち狐にとっては一生一度のご馳走なのです。
 魚や木の実、茸でも、わたくしどもでもってこられるものであったら、なんでも差し上げますから、
 どうか一匹だけでもお裾分けを」
渡してやるつもりのところに、しんから困り果てているようすの狐に、
流石に少年は酷いことをした気になって、全て渡してやろうかとも思ったが、
自分自身も昼間からの働きで腹も酷く空いているし、あと一度だけ困らせてやろうと思った。
それが無理だと降参したら、酒も付けて渡してやろう。

少し考えたが、一番の無理難題を思いついた。
「よしわかった。それじゃあ、俺は独り身で夜が寂しい。若い娘を所望だ」
狐は何も言わずに俯くと、焚き火の光の輪から去って言ってしまった。
もしかして、あまりの難題にすっかり落ち込んでしまってもう来ないだろうか?
それとも、一生一度のご馳走を匂いだけ嗅がせて渡さなかったことで、山の狐ぐるりを敵に回してしまったのだろうか?


237 :鼠の天麩羅:2008/06/29(日)20:14:11ID:yJxwvKUv0
流石に戯れ事も過ぎたかと心配になってきた少年が首を傾げていると、かすかな音が森の奧から届いてきた。
しゃんしゃん
しゃんしゃん
銀の鈴の震える音と共に、ぱらぱらと小雨が一瞬行き過ぎる。
思わず天麩羅をかばおうとした少年は、焚き火の側に白い姿がたたずんでいるのに気がついた。
白の筒袖に白袴、背中までの鴉の濡れ羽色の黒髪に抜けるような色白の、見たこともないような美しい娘だった。
娘はもとより細い眼を線にして微笑む。
「お待たせいたしました。さきほどの狐です。まだ子を産んでいないので、若いつもりなのですが」
少年は跳ねるように起ち上がったまま、あまりのことに動けなくなってしまう。
娘は細い指で、自分の袴の帯をするすると解き始めた。
若者は必死に声を励ました。
「ま、また化かすつもりだろう!」
袴が落ちて、娘はもう一度微笑んだ。
「あなたさまは、ちゃんと眉を濡らしていらっしゃいます」
指が若者の眉を撫でる。
「朝眼が醒めたら、肥溜めにでもつかっているわけか?」
震える声に、娘は首を傾げる。
「あなたさまは、鉈も、煙草も、まだお持ちでいらっしゃいます」
筒袖が細い肩から滑り落ち、桜を貼り付けた真っ白な瓜のような乳房が震えた。
風に押されたように踏鞴を踏む少年を、娘が柔らかく覆い被さった。


238 :鼠の天麩羅:2008/06/29(日)20:16:39ID:yJxwvKUv0
「俺は取り殺されてしまうのか?」
泣きそうになった少年に、金色に眼を光らせた娘が艶やかに苦笑する。
「一生一度のご馳走をくださるかたに、そんな無体はいたしません。ただ…」
少年の着物をほどいていく手は一対ではなかった。
「あのように焦らされたのですから、少しだけ嬲られるのはお覚悟ください」
少年の回りには、同じように筒袖、白袴姿の娘達が、微笑みながら“待って”いる。
一番年かさの娘が、まだ暖かい鼠の天麩羅の木皿を捧げ持って深々と一礼していた。

数日後、師の老人が戻ったとき、小屋のなかも申しつけていた仕事もいっそうきちんと片付いていたものの、
弟子の少年が魂を抜かれたように虚ろな顔をしているのを見て、さては山の神様に魅入られたかと不安になり、
井戸端に呼び寄せて、冷水を何倍も頭からかけると、
剥いだ着物の下にいくつもの歯形や爪痕が赤く青く残っているのに気づいて、硬い拳骨を降らせたのだった。
深くは追求しなかったが、なんとなく事情はそれで察したようだった。

それからも少年は、炭焼きと猟と木樵の毎日を過ごしたが、
師の眼を盗んでは、鼠の天麩羅をことあるごとに作っていたというお話。
どっとはらい。